『ジョーカー』
2019年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 トッド・フィリップス
脚本 スコット・シルバー
撮影 ローレンス・シャー
音楽 ヒドゥル・グドナドッティル
出演 ホアキン・フェニックス/ロバート・デ・ニーロ/ザジー・ビーツ/フランセス・コンロイ/ビル・キャンプ/シェー・ウィガム/ブレット・カレン/グレン・フレシュラー/リー・ギル/ダグラス・ホッジ/ダンテ・ペレイラ・オルソン/マーク・マロン/ジョシュ・パイス/シャロン・ワシントン/ブライアン・タイリー・ヘンリー/ロコ・ルナ/ソンドラ・ジェームズ/ハンナ・グロス/エイプリル・グレイス
《解説》
本当の悪は笑顔の中にある
「バットマン」の悪役として広く知られるジョーカーの誕生秘話を、ホアキン・フェニックス主演&トッド・フィリップス監督で映画化、道化師のメイクを施し、恐るべき狂気で人々を恐怖に陥れる悪のカリスマが、いかにして誕生したのか、原作のDCコミックスにはない映画オリジナルのストーリーで描く
これまでジャック・ニコルソン、ヒース・レジャー、ジャレット・レトが演じてきたジョーカーを、「ザ・マスター」のホアキン・フェニックスが新たに演じ、名優ロバート・デ・ニーロが共演、「ハングオーバー!」シリーズなどコメディ作品で手腕を発揮してきたトッド・フィリップスがメガホンをとった
《物語》
ゴッサムシティでは市の衛生局がストライキをしてゴミ収集を停止し、街中がゴミだらけでネズミが多く発生し市民を悩ませていた、政治は機能せず貧富の差は拡がり犯罪が横行している
アーサー・フレックはゴッサムに住みピエロを職業としている、派遣会社からわずかな仕事で貧しいながらも母のペニーと暮らしており、コメディアンになるのが彼の夢
アーサーは脳の損傷から緊張すると笑ってしまう発作に襲われる病気を患っていた、ペニーは心臓と精神を病んでいて、かつて仕えていた大富豪のトーマス・ウェインへ助けを求める手紙を書きその返事を待つ毎日
閉店セールの宣伝をしていると若者たちに看板を奪われて壊されて、アーサーも袋叩きにされてしまう、それによって事務所からは職場放棄と看板の弁償を請求されてしまう
落ち込むアーサーに同僚のランドルが護身用に銃を渡してくれた、後日に小児病棟でのピエロの仕事中にアーサーは銃を床に落としてしまう、事務所は即刻解雇を言い渡し、ランドルはアーサーに売ったと嘘をつく
追い詰められていくアーサーはピエロの姿のまま地下鉄に乗り、電車内では3人のサラリーマンが女性に絡んでいた、その女性はアーサーに視線をやり助けを求めるがアーサーは発作の笑いが抑えられない
女性は上手く逃げたがサラリーマンたちはアーサーに暴力を振るい、耐えられないアーサーは彼らを射殺、アーサーの中で何かが弾けた瞬間で罪悪感より高揚感を得た
生まれ変わったような感じがしたアーサーは同じアパートに住むシングルマザーのソフィを訪ねて強引にキス、彼女も拒まずアーサーを受け入れて口説かれて仲を深めた
殺されたサラリーマンはウェイン社の者でトーマス・ウェインは殺人者をピエロだと罵り、貧困層と富裕層の軋轢が悪化し、ピエロの仮面を被った抗議デモへと発展していく
《感想》
「バットマン」や「ダークナイト」のジョーカーの原点がこんな風に描かれるとは意外でしたね、しかも中年男のジョーカーは幼いブルース・ウェインと会ってるんです
本作はアメコミ作品なのですけどベネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞、「インヒアレント・ヴァイス」のホアキン・フェニックスはアカデミー賞で主演男優賞を受賞しました
当初はマーティン・スコセッシ監督でレオナルド・ディカプリオ主演の構想もあったそうですが監督のトッド・フィリップスは脚本段階からホアキン・フェニックスを意識してジョーカーのイメージをしていたようです
ホアキン・フェニックスも80キロあった体重を60キロまで減量してジョーカー役に挑みました、おいらもホアキンのイメージは少し太ったイメージだったのでこの姿はビックリでしたね
監督のトッド・フィリップスはアメコミなのですが格差社会を風刺するような内容が話題となるも、アーサー・フレックが如何にしてジョーカーへと変貌していくかが人物研究めいた作品だそうです
ジョーカーのあの姿は、強盗をしたジョーカーがバットマンに追い詰められて化学薬品の溶液に落下して、白い肌に緑の髪に赤い裂けた唇の姿が浸透しています
しかし本作ではコメディアンを目指すアーサーが自ら手掛けたメイクとして描かれています、「スーサイド・スクワッド」も含めておいらが知っている4人目のジョーカーですが今までのような極悪人のジョーカーというわけではなく悲しみを背負った感じがしましたね
幼い頃のDVによって脳に障害が残り、緊張すると笑ってしまう発作に襲われる不幸な病気を持っているんです、それに母親は精神と心臓を患っていて妄想癖もあってそれにアーサーも翻弄されることになるんです
地下鉄で酔ったサラリーマン3人に暴力を振るわれて銃で撃ち殺してしまうんです、それがアーサーにとってもの凄く高揚感があって満たされるんです。それがウェイン社の社員であってもね
そのまま同じマンションに住むシングルマザーのソフィの部屋を訪ねていきなりキスをするんです、このソフィを演じるのが、「デッドプール2」のザジー・ビーツで難しい心境を演じています
不幸の連発なのですが人気トーク番組のマレー・フランクリン・ショーに出演依頼がくるんです、こんな名誉なことはないとアーサーはピエロのメイクをして臨むのです
でもそこでアーサーは狂気のジョーカーへと変貌するんです、しかも貧困層の象徴としてピエロの仮面が象徴とされているのですが、富裕層のトーマス・ウェインに憎悪を燃やす民衆によってジョーカーはカリスマとして祭り上げられるんです
このマレー・フランクリンを演じるのが、「世界にひとつのプレイブック」や「アメリカン・ハッスル」のロバート・デ・ニーロで彼はアーサーを凄く買ってるのですが想像した事とは違ってしまうんです、でもこのシーンはホアキンが毎回違う演技をするので何回も撮り直してましたよ
監督は、「ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」のトッド・フィリップスで、よく孤独な男が悪のカリスマへと変貌するジョーカーの完全オリジナル作品を撮りましたね
今世紀初めて出会う衝撃 それが『ジョーカー』です。
どんな時も笑顔でと育てられたアーサーでしたが世の中はそうではなかった