『死霊伝説』
1980年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督 トビー・フーパー
原作 スティーブン・キング
脚本 ポール・モナシュ
撮影 ジュールス・ブレンナー
音楽 ハリー・サックマン
出演 デビッド・ソウル/ジェームズ・メイソン/ランス・カーウィン/ボニー・ベデリア/リュー・エアーズ/ジョージ・ズンザ/レジー・ナルダー/バーバラ・バブコック/マリー・ウィンザー/エド・フランダース
《解説》
この町には近づくな!恐ろしい事件が待ちうけている
「ファンハウス 惨劇の館」の鬼才トビー・フーパー監督がスティーブン・キングの小説「呪われた町」を映像化、謎に包まれた館を舞台にした怪奇事件を描く、アメリカではテレビシリーズとして放送されたが、日本では編集されて劇場用映画として公開された、後に完全版が放送された
《物語》
メーン州セイラムズ・ロット、作家として成功したベン・ミアーズは故郷のこの町に戻り、マーステン館と呼ばれる丘の上に建つ屋敷を眺めていた
セイラムズ・ロットは人口2013人の小さな町、ベンは不動産屋で社長のラリー・クロケットにマーステン館を借りたいと申し出るが、すでに売却済みと断られ、従業員のボニーにエバ・ミラーの下宿を勧められた
この20年空き家だったマーステン館をリチャード・ストライカーが最近この町に来て骨董品店を開店するために購入した、共同経営者のバーロウは近日中に到着予定だ
野外でスケッチをしながらベンの著書を読んでいた美術教師のスーザン・ノートンに声を掛けたベンは彼女を夕食に誘った、夜になりマーステン館を見ているとストライカーと遭遇し軽く挨拶、警官のパーキンズにはベンは怪しく見えた
夕食に招待されたベンは食後にスーザンと湖にドライブに行き、次にマーステン館を題材にした小説を考えていると話すとスーザンが告白して2人は交際することとなった
翌日にストライカーはラリーを呼び出し、埠頭に届く食器棚をマーステン館の地下に運んでほしいと依頼、地下に運んだ後は厳重に鍵をするように言う、ラリーは運送業を営むカリーに依頼
ベンはかつての恩師バーグを訪ねて学校へと向かい、その夜ベンはバーグと食事をしながらマーステン館の話をした、ベンは子供の頃には既に空き家だったマーステン館に忍び込みそこで幽霊を見た、首を吊ったヒュービー・マーステンの姿を
最初に館を建てたボーンは妻と使用人を殺害して自殺、マーステンの妻と妹も謎の死、マーステンが住むと町の少年が数人姿を消した、証拠は何もないが、ベンは邪悪な家は邪悪な人間を引き寄せると説明
木箱に入った食器棚を運んでいたカリーの部下2人はあまりの重さと冷たさに館の地下で開けようか考えたが不気味な音に恐れをなして止め、鍵をせずに引き上げた
その頃、森を歩いていた兄弟が何者かに襲われる事件を皮切りに、町では次々と怪奇な事件が起こる
《感想》
かなり久しぶりに観ましたが、当時は劇場版なので意味がよく分からなかったんです、まあ184分の作品を110分にカットしての公開だったのでそれは仕方ないですよね
その後に完全版を観てやっと本筋が分かったような気がしました、物語は吸血鬼が登場するゴシックホラーなんです、主人公のベン・ミアーズは以前から丘の上に建てられたマーステン館を不気味に感じていたんです
いろいろと調査をしながらこのマーステン館を舞台にした小説を書いているんです、エバ・ミラーの下宿からはマーステン館がよく見えるんです、そこで美術教師のスーザンと知り合って交際を始めるんです
このスーザン・ノートンを演じるのが後に「ダイ・ハード」でホーリー・マクレーンを演じるボニー・ベデリアなんです、ちなみに彼女の甥っ子はマコーレ・カルキンなんです
吸血鬼の本編とは関係ないところで伏線もあるんです、不動産屋のラリーは従業員のボニーと不倫の関係なんです、ボニーは運送業を営むカリーの妻なんです、運送業と言ってもトラック運転手
ラリーはストライカーに頼まれた食器棚を運ぶ仕事をカリーに任せるんです、カリーが仕事をしている間にボニーは自宅にラリーを呼んでセックスをしようとするんです、自宅でするのが興奮するんだとか
しかしカリーは2人を怪しいとにらんでいて、この仕事を友人2人に任せて自宅前で張り込んでいるんです、ラリーが自宅に入ってしばらくしてカリーはライフルを持って押し入るんです
そしたらボニーはラリーに襲われたと言い訳、ラリーはボニーに誘惑されたと言い訳して吸血鬼の本筋より気になってしまいました(笑)、その後にラリーはパンツ1枚で逃げるんですけど何者かに襲われて死亡するんです
カリーに任されて食器棚を運搬する2人の男は入っている木箱が異様に冷たいことを不思議に思い、マーステン館の地下で開けようとするのですが止めて鍵もポイっと投げて逃げ出してしまうんです、それが悲劇の始まりです
この吸血鬼がまた凄いビジュアルでドラキュラのような紳士っぽい感じではなく、まさにモンスターなんです、その異形の姿でまずは子供から襲い始めるんです
監督は「悪魔のいけにえ」や「悪魔の沼」の鬼才トビー・フーパーでさすがにテレビシリーズなのであまりえげつない描写はありませんけど、こんなゴシックホラーを撮ってみたかったのかな?
原作は「シャイニング」や「キャリー」などのモダンホラーの帝王スティーブン・キング、彼の作品は本当に好きで、それをトビー・フーパーが撮るなんてワクワクしましたよ
ゴシック吸血鬼映画の集大成! それが『死霊伝説』です。
このマーステン館の中が「悪魔のいけにえ」のレザーフェイスの家の中に似てるんです