『四十九日のレシピ』
２０１３年 「四十九日のレシピ」製作委員会
《スタッフ＆キャスト》
監督 タナダユキ
原作 伊吹有喜
脚本 黒沢久子
音楽 周防義和
出演 永作博美／石橋蓮司／岡田将生／二階堂ふみ／原田泰造／淡路恵子／内田慈／荻野友里／中野英樹
《解説》
母が遺したのは、人生の処方箋でした
「ふがいない僕は空を見た」のタナダユキ監督が、注目を集める女性作家・伊吹有喜の同名小説を映画化 亡くなった母の残したレシピを通して、家族が再生していく姿を温かく描き出す
主演は「八日目の蝉」で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞など数々の国内映画祭に輝いた永作博美 他にも石橋蓮司、岡田将生、二階堂ふみら豪華俳優がキャストに並ぶ
《物語》
人生の晩年を迎えた熱田良平は突然、妻の乙美に先立たれこの先どうしていいか分からず寝転がり天井を見つめていると、そこに派手な服装の女の子・井本が現れた
彼女は自らをイモと名乗り、良平の家に上がり込むと乙美が生前に作っていた暮らしのレシピカードを取りだし、「これをやろう」と開いたページには四十九日のレシピの文字
愛人との間に子供まで作った夫の浩之に愛想をつかし、判を押した離婚届と結婚指輪を残して実家に戻ってきた百合子は良平とイモが一緒にいるところを見て驚いてしまう
イモは百合子に依存症の少女たちの厚生施設でボランティアをしていた乙美の元生徒だった 乙美から自分が死んだらみんなが楽しく飲み食いする四十九日の大宴会をしてほしいと頼まれたと説明
百合子は思い出していた 幼い頃に乙美は父の再婚相手として現れ、血縁関係はない 動物園で初めて父から紹介されたときに乙美が作ってきてくれた弁当を地面に叩き落してしまったことを今でも悔やんでいる
良平も事あるごとに乙美を怒鳴り、釣りに出掛ける時に乙美が作った弁当に文句を言って持たずに出掛けたのが最期となり後悔している
イモの作る料理は乙美の味でなんだか懐かしかった 全てをたいらげる良平と具合の悪い百合子は食べきれずに残してしまった
次の日の朝早く目覚めた良平は乙美が遺した暮らしのレシピカードを見て、毎日の掃除のページを見て初めて掃除をした
そして朝現れたイモと朝市に向かう良平 そこで見付けたイワナを浩之の好物だと思い出し、それを届けて話をしようかと思ったが愛人とその子と一緒にいる浩之を見て戻ってくる
家に戻った良平は、「やるぞ！四十九日の大宴会！」と百合子を励ますように宣言 イモは助っ人に乙美のパート先の工場の青年で日系ブラジル人のハルを連れてきた
こうして乙美のレシピ通りの準備を始めることにした
《感想》
すごくハートウォーミングな話で悲しいけれど温かい、そんな物語です 「ふがいない僕は空を見た 」のタナダユキ監督は好きな監督の１人です
やはり男はダメですね 石橋蓮司演じる良平は妻の乙美には亭主関白なんですが亡くなってしまうと自分では何も出来ず、途方に暮れてしまいます
言い方を変えれば不器用な男なんですが、その馴れ初めも不器用な男でしたよ 乙美に積極的に迫られて結婚した感じでした
その乙美とは血の繋がりのない良平の連れ子の百合子は幼い頃にお弁当をひっくり返したことをいまだに後悔しているんです でも母となってからは仲良い母娘だったんですよ
そんな百合子ですが旦那の浩之が浮気し愛人を妊娠させてしまう 百合子は子供が出来ずに負い目があったのかも その愛人の幼い男の子が虐げられていて百合子は同情してしまうんです
こんな色々と分け有りな父娘の前に現れたのがイモ 強烈なファッションで良平は度胆抜かれます それぐらいインパクト大で田舎町では目立ち過ぎですよ
イモを演じるのが「地獄でなぜ悪い 」の二階堂ふみ 彼女を目当てで本作を観たようなもんですよ
彼女の役柄イモは厚生施設出身でセックス依存症のようなもの 乙美のおかげで立ち直り、料理の弟子となりました
若手女優の中でも有望株の１人であまり当たり前の役は少なくて面白い女優ですね それに個性的な美人です
百合子を演じるのは「八日目の蝉 」で賞を総なめにした永作博美 年を重ねても可愛らしいですし、幸薄い雰囲気が出て素敵ですね
本作では旦那の浮気にイモの出現で目まぐるしくてバタバタしたまま四十九日の大宴会を催すんですが叔母さん役の淡路恵子にボロカス言われます
しかし本作が遺作となりました 映画やドラマだけでなくバラエティーでもその毒舌を発揮し、芸能界屈指のドラゴンクエスト好きでした
それに中盤から登場する日系ブラジル人ハル役には「瞬 またたき 」の岡田将生 出番は少ないのですがこちらもイモに負けず劣らず派手で太陽のような人物でした 彼も最近はいろんな役をこなして注目され出演作も多いですね
娘と父、イモとハルの４人での奇妙な共同生活が面白くて温かくなりますよ
亡くなった母の願いをかなえようと奮闘する中で知る、人生に大切な事 それが『四十九日のレシピ』です。
なかなかレビューできなかったので記憶が曖昧なとこもあります
