『カエル少年失踪殺人事件』
2010年 韓国
《スタッフ&キャスト》
監督 イ・ギュマン
原作 キム・ガウォン
脚本 イ・ギュマン/ユ・ガビョル
撮影 キ・セフン
音楽 チェ・スンヒョン
出演 パク・ヨンウ/リュ・スンニョン/ソン・ドンイル/ソン・ジル/クム・ヨジン/パク・ピョンウン/チュ・ジンモ/キム・グテク/パク・ミヒョン/イ・サンヒ
《解説》
還らぬ子を待つ親たちは、今も死んだように生きている
1980年~90年代に韓国で起きた”三大未解決事件”のひとつで、小学生5人がカエルを捕りに行ったまま失踪し、11年後に白骨死体で発見されるも、2006年に時効が成立した事件を題材にした作品
事件解決の糸口を突き止めるべく奔走する者たちが真相に近づくまでの過程がリアルに描きだされ、韓国では興行収入2週連続1位を記録した
《物語》
1991年3月26日 統一地方選挙の日、大邱近郊のトアプ山のある麓の村でカエルを捕まえに行くと言って出掛けた小学生5人が行方不明になる事件が発生
当初は警察もすぐに戻ると捜索願を出した保護者たちを軽くあしらっていたが、その後の警察や軍の大掛かりな捜索活動とメディアを使った公開捜査に発展
北朝鮮の拉致や人身売買や営利誘拐、あらゆる事件を想定するが子供たちの行方は分からぬままに事件は風化してしまう
1996年 教養番組で高視聴率をたたき出して賞を受賞したソウルのTV局の演出家のカン・ジスンはヤラセが発覚し、大邱の小さなTV局に左遷
ジスンは一発逆転を狙ってこの大邱で起こった行方不明事件の真相を暴いて特ダネのスクープを狙う
事件は選挙を混乱させる為の狂言であり、首謀者は5人の親の誰かだと犯人像を分析する大学教授のファン・ウヒョクに接触
ファン教授はすでにある人物を疑っていた 失踪した少年の1人であるチョンホの両親である 理由は警察に出した捜索願が早すぎること
ジスンは事件担当のパク・キョンシク刑事に会い推測を話すがパク刑事は、死体も発見されないのは子供たちが生きている証拠と動かない
ジスンとファン教授はチョンホの両親に会い、この日の父親の行動に疑問を抱いたファン教授は両親が自宅に死体を埋めていると確信し、遂に警察を動かした
そして自宅を片っ端から掘り返したが何も発見出来なかった ジスンは辞職願を提出、ファン教授は全てを失くした
事件から11年後の2002年9月 トアプ山の山林で白骨化した5つの遺体が発見された 警察は面子のため、他殺ではなく凍死と発表
もちろん親たちは納得出来ない しかもその場所は何度も捜索した場所だ ソウルのTV局に呼び戻されていたジスンは再び独自に捜査を開始する
《感想》
これは意外に面白かったです それにこのタイトルで思わず手が伸びてしまいました もしタイトルが、大邱少年失踪殺人事件だったら観てないかも
実際に起きた未解決事件をモチーフにしているようですが、本当に大学教授がプロファイリングして失踪した少年の両親を犯人扱いしたのでしょうか? これはさすがに酷いですね
始めはただの推理だったんですが、ジスンが話をもち掛けたところから暴走してしまったのかも ジスンの静止も聞かずに独自の都合の良い解釈で犯人を決めてしまうんです
結果この強引な推理で警察やメディアまでも動かし、職や家族も全て失ってしまいます 自業自得やね でもその後に白骨遺体発見現場でジスンとファン教授は再会するんですが、まだ両親が死体を動かしたとの推理でジスンに訴えるのですが、さすがにジスンはあきれてしまいます
この間にジスンは子供が生まれ、親が子を思う気持ちを理解したのでしょう
実際には未解決なのですが、その遺体の頭蓋骨には虐待されたような痕が発見されジスンが犯人に迫ります
それにしても5人の子供を誘拐するなら複数犯でしょうか?劇中でも描かれる犯人は少年たちと面識があったのかもということです
韓国で三大未解決事件と言われているようです 「殺人の追憶」で描かれた華城連続殺人事件、「あいつの声」で描かれたイ・ヒョンホ誘拐殺人事件と並ぶ事件です
怖いのは事件に寄生する人間の本性や欲 野心のために特ダネを狙うマスコミ 名声のために犯人像に迫る大学教授 解決への糸口が全くつかめない刑事 風化を畏れて嘘をつく家族 そして潜伏している真犯人
韓国三大未解決事件の謎に真っ向から挑んだ痛ましくも真実の記録! それが『カエル少年失踪殺人事件』です。
どこの国にも未解決事件はありますが、子供が犠牲になる事件は耐えられませんね オープニングの子供たちのシーンは絶品です