『哀しき獣』
2010年 韓国
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 ナ・ホンジン
製作 ハン・スング
撮影 イ・ソンジェ
音楽 チャン・ヨンギュ/イ・ビョンフン
出演 ハ・ジョンウ/キム・ユンソク/チョ・ソンハ/イ・チョンミン/カク・ピョンギュ/イム・イェウォン/タク・ソンウン/イーエル/チョン・マンシク
《解説》
この闇には、一縷の光さえも届かない
衝撃作「チェイサー」で一躍注目を集めたナ・ホンジン監督が主演にハ・ジョンウを迎え、再タッグを組んだクライム・サスペンス 韓国映画史上初となるハリウッドメジャースタジオが出資、早くもリメイク権を獲得したことも話題
四面楚歌の状況の中、どこまでも孤独な男をハ・ジョンウが好演 出演作ごとにそのい容貌を変えるそのカメレオン俳優ぶりに注目
《物語》
北朝鮮とロシアに接する中国領に延辺朝鮮族自治州がある 韓国系中国人、いわゆる朝鮮族は80万人 その多くが生計のために、違法または合法的に韓国で生活している
延辺で暮らすタクシー運転手のグナム 彼の妻は韓国に出稼ぎに行くものの送金はなく音信不通 妻の入国資金として作った6万元の借金を返すため高いレートの麻雀に手を出すも負けてしまい借金はふくらむばかり
返済を迫られたグナムは借金取りからミョンと言う男を紹介される ミョンは請負殺人ブローカーで借金の帳消しの代わりに、韓国へ行き大学教授キム・スンヒョン殺害の取引に応じる
グナムは密航船で韓国へ渡り、ブローカーから帰りの船便の日付を言い渡されソウルに向かう
暗殺の準備を進めながらも妻の行方を捜すグナム そして妻のアパートを突き止めるが、1時間前に男と出掛けた後だった
遂にグナムがスンヒョンの暗殺を決行する夜に、同じくスンヒョンの命を狙っていた会社社長キム・テウォンの部下にスンヒョンは殺されてしまう
グナムはミョンの命令通り殺しの証拠として死体の親指を切り取り逃げようとするが、そこに警察が駆けつける 必死の逃走で警察を振り切ったグナム
帰国の指定場所に向かうとそこは工事現場 裏切られたのだ
警察はグナムを犯人と断定し、捜査を開始
一方、部下の殺人を見られたテウォンもグナムを追う
そして朝鮮族の女性が殺害される事件が報道される その容疑者が妻の交際相手と知ったグナム
テウォンはグナムを送り込んだのがミョンと知り、延辺へ殺し屋を送り込むがミョンは返り討ちにし、部下を連れて韓国に乗り込んでくる
グナムは妻を捜しながらも警察に追われ、テウォンとミョンに命を狙われ遂には反撃に出る
《感想》
とにかく韓国クライム・サスペンスは容赦なく救いがありません 変にハッピーエンドになるよりずっといいですよ ハリウッドリメイクが決定しているようですが同じように作れるのか心配ですわ
韓国では銃は使えないので殺しあう武器は包丁やナイフ、そして手斧 少々切られても大丈夫みたいです(笑)
それにおいらは勉強不足で朝鮮族なるものを知りませんでした 中国に住んでる韓国人のようです その彼らが韓国に密入国して出稼ぎに行くんですがその環境は劣悪です
主人公グナムの妻が出稼ぎに行ったきり音信不通になるのですが、グナムは妻が他の男に抱かれている夢をよく見るんです 考え出したらキリがないので請負殺人を引き受けて韓国へ
殺人のチャンスを伺っている時にコンビニでカップラーメンを食べてるんですが隣の男がフランクフルトを食べてるのを見ると自分も欲しくなって食べてるんです ここはなんだか笑えた
この請負殺人には女が絡んでるんですけど、映画には3人の女が登場します その3人がみんな綺麗なんです
主人公の妻役のタク・ソンウン
殺される教授の妻役のイム・イェウォン
会社社長の愛人役のイーエル
とくにこのイーエルさんは社長とハードなベッドシーンが用意されてます 韓国映画はセックス・シーンも手を抜きません
妻の行方を捜すのと、殺人容疑で警察に追われ、しかも裏切られてずっとジョーカーばかり引いてます しかしこんなインケツな男が爆発すると怖いよ~
妻が連絡さえ入れてたらこんな人生じゃなかったのに 韓国では本当に朝鮮族が問題になってるのでしょうか? こんな形で密入国したらまともな仕事はないですよね 犯罪に走るのはわかるような気がします
本作は海外資本ですからお金をかけた派手なシーンも用意されてます おいらはこんな派手じゃなくていいと思いますけどね
前作の「チェイサー」ほどではないですがこの監督はシビれます カッコよくというよりは泥臭く撮るのが味ですね 次回作も楽しみです
過酷な運命に翻弄されながらも、妻との再会のため孤軍奮闘する男の姿を描くクライム・サスペンス それが『哀しき獣』です。
会社社長が命令した殺人とグナムが受けた殺人 さてミョンに殺人を依頼したのは誰でしょう?