『ニュー・シネマ・パラダイス』
1989年 イタリア・フランス
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ
撮影 ブラスコ・ジュラート
音楽 エンニオ・モリコーネ
出演 フィリップ・ノワレ/ジャック・ペラン/サルバトーレ・カシオ/マルコ・レオナルディ/アニェーゼ・ナーノ/アントネラ・アッティーリ/プペラ・マッジオ/レオポルド・トリエステ/エンツォ・カナヴェイル/レオ・グロッタ/イサ・ダニエリ/ニコラ・ディ・ピント
《解説》
映画から夢が広がった大切なぼくの宝物、世界中をあたたかい涙と優しい愛で包んだ、映画史に残る感動作
イタリアのシチリアを舞台に、少年と映写技師が映画を通して心を通わせていく様を、感動的な音楽と繊細な人物描写で描き出す、サルバトーレ・カシオが愛くるしい演技で演じきった、年齢を超えた友情や少年時代の夢など、世代や時代を超えた人々に愛される物語に、映画の魔法という名の感動が存分につまっている
アカデミー賞外国語映画賞、カンヌ国際映画祭審査委員グランプリなど数多くの映画祭を受賞し、世界を感動で包み込んだ珠玉の名作
《物語》
ローマ、深夜に帰宅した映画監督のサルヴァトーレ・ディ・ヴィータは留守中に母親から電話があったと恋人から聞かされた
サルヴァトーレが30年間1度も連絡することもなかった故郷のシチリア島の村、それは恩人アルフレードの死の連絡だった
2人の出会いは遥か昔、まだサルヴァトーレがトトと呼ばれて神父の手伝いをしていた幼い頃、父は第二次世界大戦でロシアに行き、母のマリアと赤ん坊の妹と3人暮らし、トトは映画に夢中でこの村の人々は数少ない娯楽として教会を兼用した小さな映画館を楽しんでいる
映画には検閲があり、それをチェックするのは神父の役目、キスシーンなどは神父がベルを鳴らし、映写技師のアルフレードがフィルムをカットする
映写室に入り込むトトにフィルムは燃えやすいので来るなと言うアルフレード、カットしたフィルムを欲しがるトトにアルフレードはフィルムはやるが俺が保管すると言って追い出す
そんな年の離れた2人だったが不思議な友情が生まれていた、牛乳を買うお金で映画を観たトトをかばってやるアルフレード
アルフレードは映写の仕方を教えてほしいと言うトトにいつも独りぼっちのつらい仕事だと断るアルフレードだったがトトはいつの間にか見て覚えてしまい、アルフレードも全てをトトに伝授
村で唯一の映画館は大盛況で映画館に入れない人たちは騒いでいた、それを鎮めるためにアルフレードは野外の壁にもフィルムを映した
喜ぶ人々だったが少し目を離した時に映写機から発火して炎が上がりフィルムに引火して映画館は全焼、アルフレードも両目を失う大火傷を負った
その後、サッカーくじを当てたナポリ人の協力によって映画館は新しくオープン、アルフレードはトトに映写室の全てを任せた
それから数年が経ちトトは映写室にいた、そして運命的な恋をする、この村に引っ越して来た美少女のエレナ、一目惚れしたトトの想いは叶い、2人は毎日一緒に過ごした
しかしエレナは大学進学のために引っ越すことになり、トトは徴兵により2人は村から離れた、トトが村に戻った時にはエレナの行方は分からなくなっていた、淡い初恋は終わった
アルフレードは久しぶりに会うトトに村を出るように言う、そして帰ってくるなと、人生は映画とは違う、もっと困難なものだ、ローマに行けとアルフレードの愛のある言葉にトトは故郷を離れた
以来30年間、サルヴァトーレは一切連絡もとらずに過ごした、30年ぶりの帰郷により村は大きく変わり活気づいていた、あの映画館も数年前に閉館して取り壊された
アルフレードの葬儀の後に彼の妻からサルヴァトーレに1本のフィルムが渡された、それはアルフレードにサルヴァトーレに渡すように言われていたフィルム
サルヴァトーレはローマに戻りそのフィルムを映写機で映した、そこに映し出されたものはトトと呼ばれていて頃にアルフレードが預かっていてくれた懐かしいフィルムだった
《感想》
おいらが思う史上最強の映画だと思ってます、人に1番好きな映画はと尋ねられて答える作品は本作です、それほど好きな作品です
この作品は10年ほど前に1度レビューしているのですが改めてレビューし直しました、前回はオリジナル版を軸にレビューしましたが今回は劇場版をレビュー
123分の劇場版は主に映画館を舞台にした作品でノスタルジックでとても良い雰囲気をシチリアの村で見せてくれます、そして173分のオリジナル版はトトの人生に焦点が置かれ、エレナとの初恋や帰郷後の物語が丁寧に描かれてます
もともとはイタリア劇場版が155分だったのですがイタリアでの興行成績が振るわなかったことでラブシーンや後日談をカットした123分の国際劇場版が公開されて成功し、さらにディレクターズカットのオリジナル版の173分が日の目を見ました
おいらはトトとエレナの初恋のシーンは好きなのですが、この2人がすれ違ってしまって自然消滅してしまうのですが、それがある理由だったり、帰郷したサルヴァトーレがエレナと再会するんです、これは初恋のその後が描かれていて好きな人もいるでしょうがおいらは淡い綺麗な想い出が中年の男女の不倫となるのはちょっとね
なのでそんな理由でおいらは劇場版が好きなんです、その幼い頃のトトが可愛くてね、青年となったトトとエレナの恋愛模様ももちろん良かったけど、初恋なんて成就するより終わるものじゃないかな?
この映画は子供の頃に観るよりも大人になって観る方が胸が熱くなります、人生には喜びや苦悩もあって生きてきた年月の重みもあって、人は1人ではないんだとこの映画はいろんな事を教えてくれます、アルフレードもトトに言うセリフも素敵です
このアルフレードを演じるのがフィリップ・ノワレで彼の映写技師としての姿がすごくカッコ良くてこれぞ職人って感じで映画好きとしては達人に見えます
これは監督のジュゼッペ・トルナトーレが故郷のシチリア島で育った体験を描いたのですが、監督はこれはみんなのための実話だと言っています、監督も母親に「電話をするといつも違う女性が出る、でも心から愛している声をまだ聞いていない」と映画のセリフを言われたのかな?(笑)
この映画の感動は最後に訪れます、映画史の中でも屈指のラストシーンではないでしょうか、この数分のラストシーンを観る為に本編を観てほしいです、そしてエンニオ・モリコーネによる感動の旋律が涙を誘います
映画から夢が広がった、大切なぼくの宝箱 それが『ニュー・シネマ・パラダイス』です。
ラストシーンでの映写技師の役はジュゼッペ・トルナトーレ監督によるカメオ出演です