『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』
2015年 イタリア
《スタッフ&キャスト》
監督・製作 ガブリエーレ・マイネッティ
脚本 ニコラ・グアッリャノーネ
撮影 ミケーレ・ダッタナージオ
音楽 ガブリエーレ・マイネッティ
出演 クラウディオ・サンタマリア/イレニア・パストレッリ/ルカ・マリネッリ/ステファノ・アンブロジ/マウリツィオ・テゼイ/フランチェスコ・フォルミケッティ/ダニエーレ・トロンベッティ/アントニオ・トルッポ/サルボ・エスポジト/ジャンルカ・ディ・ジェンナー
《解説》
胸熱。
1975年に日本で放送され、79年にはイタリアでも放送された永井豪原作アニメ「鋼鉄ジーグ」をモチーフにしたイタリア映画
監督は本作が長編デビューとなるガブリエーレ・マイネッティ、主人公エンツォ役に「緑はよみがえる」のクラウディオ・サンタマリア、敵のジンガロ役にルカ・マリネッリ
《物語》
爆弾テロの恐怖に晒されるイタリア・ローマで窃盗を生業としているチンピラのエンツォは警察に追われて隠れるために川に潜るが沈めてあった放射性廃棄物のドラム缶に入ってしまった
警察から逃げることはできたが体調不良となり咳をすると黒い液体を吐き出し、不安に悩まされるエンツォ
体調も回復し、盗品の時計を兄貴分のセルジュに売りに行くと麻薬取引の手伝いをさせられる、体の中に麻薬を隠す運搬役の1人が死亡し、もう1人が銃でセルジュを射殺、エンツォも撃たれてビルから落下して地面に叩きつけられた
しかし無傷の状態で立ち上がり、鋼鉄の肉体と怪力を手に入れた、エンツォはその力でATMを強奪するがインクが噴射されて使い物にならない
そんな時にセルジュに取引を命じたマフィア下部組織のボスのジンガロはセルジュが行方不明なので麻薬を持って逃げたと思い、家にやってくるが娘のアレッシアがいるだけ
彼女は母を亡くしてから心を病んでしまい、日本のロボットアニメの鋼鉄ジーグだけを支えに生きている女の子
ジンガロ一味がアレッシアに危害を加えようとしたところで顔を隠したエンツォが現れて手下どもを叩きのめしてジンガロたちは逃げ出してしまう
それを見てアレッシアはその超人的な力を持つエンツォを鋼鉄ジーグの主人公の司馬宙と重ねて彼をヒーロー扱いして奇妙な共同生活が始まる
ジンガロはセルジュが殺されたことを知るが麻薬は見付からないまま、このままではナポリの上位組織の女ボスのヌンツィアに殺されかねないので金を用意しようと現金輸送車を襲う計画をするがエンツォに先をこされて金を奪われてしまう
私利私欲のためにしか力を使わないエンツォにアレッシアは人類のために力を使って、闇の日から世界を救ってと鋼鉄ジーグと混在、始めは聞き流していたがエンツォの心境に変化が現れ、正義に目覚めるがジンガロが彼を狙っていた
《感想》
子供の頃に観た「鋼鉄ジーグ」がこんな形で再び目にかかることになるとは思いませんでしたよ、なぜ鋼鉄ジーグなのかと思いました
それはイタリアで初めてテレビで放送された永井豪原作のアニメが鋼鉄ジーグだったそうです、イタリアでは同じく永井豪原作のマジンガーZも凄い人気です
当時、永井豪は玩具メーカーに磁石を使ったキャラクターを作ってほしいと依頼されて鋼鉄ジーグが出来上がったようです、鋼鉄ジーグのおもちゃは磁石で合体します
本作での鋼鉄ジーグは主人公エンツォの兄貴分のセルジュの娘のアレッシアからの影響です、アレッシアは心を病んでいて鋼鉄ジーグの世界観を現実とがゴッチャになってるんです、演じるのはイレニア・パストレッリ
エンツォはしがないチンピラなんですが放射性物質のドラム缶の中に入ってしまい、そこでよくある展開で超人的なパワーを得るんです、演じるのはクラウディオ・サンタマリア
ですがエンツォが小悪党なのでまずは素手で埋め込んであるATMを怪力で持って帰るんです、その後にエンツォとアレッシアが一緒に住み始めるんです、でも一応は女なので気になるエンツォなんです
悪い事ばかりするエンツォにアレッシアが鋼鉄ジーグのように人類を救ってと言われて仲違いするのですがエンツォがアレッシアの乗った路面電車を素手で持ち上げて止めるところをスマホで撮られて正体がバレてしまうんです
動画サイトではエンツォの話題で持ち切りで有名になりたいジンガロはエンツォのパワーの秘密をアレッシアを人質にして聞き出すんです、川に行くとそこでヌンツィア一味の襲撃を受けてジンガロは撃たれて川にドボン
警察がエンツォを追い、パトカーがエンツォを追う時に一般車と衝突して炎上するんです、運転していた女性は警察に助けられるのですが、後部座席にいた幼い娘は閉じ込められたままですがエンツォが咄嗟に飛び込んで助けるんです、母親はエンツォに抱き着いて感謝して、警察も彼を悪人とは見ないんです
ここで感謝される喜びを感じたのか、アレッシアの言う通りに正義に目覚めてくるんです、しかしジンガロは生きていてエンツォと同じようにパワーを得て、ヌンツィア一味を皆殺しにして自ら動画サイトにアップして話題となるんです
何が凄いってオープニングのタイトルが日本語なんです、その下にイタリア語で並んでいるんです、なんか嬉しくなりましたね、でも最後の覆面はどうかな?
街のゴロツキか?救世主か?日本のカルチャーへのリスペクトから生まれたイタリア発のダークヒーロー・エンタテインメント! それが『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』です。
イタリアのアカデミー賞で最多16部門ノミネートされて、最多の7部門を受賞する秀作です、面白かったです