『哭声 コクソン』
2016年 韓国
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 ナ・ホンジン
撮影 ホン・ギョンビョ
音楽 チャン・ヨンギュ/ラル・パラン
出演 クァク・ドウォン/ファン・ジョンミン/國村隼/チョン・ウヒ
《解説》
小さな村で起きる異常な連続殺人事件、その真相は誰の目による答えか、見たものすら疑わねば、真実には辿りつけない、究極のサスペンススリラー
「チェイサー」では稀代の連続殺人鬼を追う男の息詰まる追跡劇を描き、韓国スリラー映画の新しいページを開く鮮烈なデビューを飾り、2作目の「哀しき獣」では、迫力と疾走感あふれる映像で一人の男の哀しい人生を描き、韓国映画界を支える1人として確固たる地位を築いたナ・ホンジン監督待望の新作
警官ジョング役にドラマや映画の名脇役として知られ、本作が初主演となるクァク・ドウォン、國村隼がよそ者の男を演じ、韓国の映画賞・第37回青龍映画賞で外国人俳優として初受賞となる男優助演賞と人気スター賞のダブル受賞を果たした
《物語》
激しい雨が降る山間部の村コクソン、警察官のジョングは電話で起こされ殺人事件の現場へと急いだ、そこは見たこともない凄惨な現場で容疑者は自分の妻と知人を殺した
血まみれで皮膚は湿疹が出て爛れた状態で正気を失っていた、容疑者の体内からは毒キノコの成分が検出されて幻覚作用で行った犯行らしい
ジョングの同僚は毒キノコを食べたくらいであそこまでになるかと疑問、そして村の噂話を始めた、最近に山奥に住み着いた日本人についての噂だ、ふんどし姿で鹿の生肉を食い目が赤く光っていたとのこと
またしても村で一家惨殺事件が起こり、その現場は火が放たれて焼け跡から3人の遺体が運び出された、一家の妻は錯乱状態でジョングに襲い掛かってくる
遺体は焼死ではなく刺されて殺されていた、錯乱状態だった一家の妻は有力な容疑者だったが首を吊って自殺、何がどうなっているのか分からないジョング
ジョングの友人の話しでは容疑者の女は日本人の男に襲われて頭がおかしくなった、裸で外をうろついたり全身に湿疹が出て爛れていた
火事となった現場を見張っているとムミョンという女性が一家の女が殺したと話し、おばあさんが女の為に祈祷師を呼んだところ女が全員を殺したと
おばあさんは日本人の男は悪霊だと言い、女を殺そうと狙っていた、奴の目に留まったら最後は殺されると話してムミョンは姿を消した
連続する不可解な事件は日本人の男が現れてから起きている、単なる噂話かと思っていたジョングも日本人の男の存在が気になり始め、彼の家に訪れる
やがてジョングの娘の体にも容疑者と同じ湿疹が出て祖母は祈祷師のイルグァンを呼ぶ、そしてジョングの行き過ぎた行動によって村は混乱の渦が巻き起こる
《感想》
なかなか国としてではなく個人の日本人をここまで敵視するなんて思い切った演出でしたね、さすがに「哀しき獣」や「チェイサー」のナ・ホンジン監督です
彼の現場はすごく厳しいらしいです、他の監督に言わせれば韓国映画の現場はそんなに厳しくなくてナ・ホンジンの現場が特別らしいです
主人公のジョングを演じるのが「ある会社員」などで名脇役と言われるクァク・ドウォンでナ・ホンジンの作品に出るべきか悩んだそうです
祈祷師のイルグァンを演じるのがリメイク版の「黒い家」のファン・ジョンミンで韓国の祈祷とはこんなものだと迫力ありましたね
そして謎の日本人を演じたのが「破門 ふたりのヤクビョーガミ」の國村隼で激しい韓国人に対して静かな日本人を演じています
それにこの演技で韓国で最も権威ある映画祭の青龍映画賞で男優助演賞と人気スター賞のダブル受賞しました、長い俳優生活の中で初めての賞らしいです
もう一人の謎の人物ムミョンを演じるのが「ビューティー・インサイド」のチョン・ウヒで出番は少ないのですが彼女は怖い
この作品はカンヌ国際映画祭にも出品されて出演者もカンヌで和気あいあいとしていました、國村隼は海外作品が続いていますね
本作は始まりは猟奇殺人的な映画かと思っていたら、今度は伝染病のようなパニック的な映画かと思ったら悪魔の名のもとにオカルト的な作品かと展開が変わっていくんです
2時間36分の作品ですがホラーやスリラーにしては長い上演時間なのですがそんなジャンルには治まらない深い作品でしたね、まあたしかに観終わったら疲れますね、それぐらい凄い作品でした
小さな村での出来事なのですが怖いのは噂話だったり先入観です、そんな猜疑心みたいなのがだんだんと大きくなっていって集団心理もあって恐ろしい行動をとるんです、まあ相手が日本人ってのも理由かもね
疑え、惑わされるな それが『哭声 コクソン』です。
後半には「エクソシスト」を思わせる悪魔祓いでどうなるのかと思いましたよ、でも伝わりにくいラストです