『マジカル・ガール』
2014年 スペイン
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 カルロス・ベルムト
撮影 サンディアゴ・ラカイ
出演 ホセ・サクリスタン/バルバラ・レニー/ルイス・ベルメホ/イスラエル・エレハルデ/ルシーア・ポリャン/エリサベット・ヘラベルト/ミケル・インスーア/テレサ・ソリア・ルアーノ/ダビド・パレハ
《解説》
愛が運命を狂わせる、その速度マジカル級!フィルム・ノワールの新たなる傑作の誕生!
「魔法少女ユキコ」のコスチュームをきっかけに、何気なく出会い、人生が良きせぬ方向へと大きく動き出す登場人物たち、掛け違ったボタンのように狂い出した運命の歯車は、誰にも止められない
メガホンを取るのは、短編を中心に活躍してきた新鋭カルロス・ベルムト、「バスルーム 裸の2日間」のホセ・サクリスタン、「フレア よみがえり少女」のバルバラ・レニーらが出演する、予想不可能な展開や、鮮烈なビジュアルの数々にも魅了される
《物語》
アニメ「魔法少女ゆきこ」に憧れる12歳の少女アリシアは白血病で余命もわずかな体、アリシアは父親のルイスに「タバコを吸ってみたい」「ジントニックを飲んでみたい」とささやかな願いを叶えてもらっていた
アリシアが眠った後に机の上にあった願い事ノートを見てみたルイス、願い事1は「誰にでも変身できる」、願い事2は「メイコ・サオリが歌手メグミ用にデザインした魔法少女ゆきこのドレス」、願い事3は「13歳になる」
ルイスがパソコンで検索し、ドレスの値段を見るとなんと7千ユーロ、コスチュームは特注品で失業中のルイスには買ってやることができない
ルイスは宝飾店の前で石を持ち強盗をしようとガラスに投げようとするがその瞬間に頭上から吐瀉物が降りかかってきた
それは階上に住む女性バルバラの吐き出した物だった、バルバラは夫である医師のアルフレードと暮らしていたが心を病んでしまい、アルフレードとの関係も冷め、薬ばかり与えられていた
睡眠薬を飲まされ眠っているうちにアルフレードはいなくなり孤独に耐えられなく睡眠薬を大量に酒と服用し、気持ち悪くなって吐いてしまったのだ
バルバラはルイスに謝罪しシャワーを浴びて洗濯を申し出て、バルバラの部屋で話をするが彼女は寂しさのあまりルイスに抱いてもらう
翌朝バルバラが目を覚ますとルイスはいなくなりアルフレードが戻っていた、そこに電話がかかり浮気の秘密を夫にバラされたくなかったら7千ユーロ用意しろとルイスは脅迫
アルフレードとの再構築を望むバルバラはやむを得ず旧友のアダを訪ねて1回で7千ユーロを得る仕事をした
ルイスはその金で魔法少女ゆきこのドレスを買いアリシアに与えるのだが、心身共に傷を負ったバルバラは過去に因縁を持つ出所したばかりの元教師ダミアンに救いを求める
《感想》
白血病で余命幾ばくも無い愛娘の望みを叶えるために暴走する父親が想像を絶する事態を引き起こす様をブラックユーモアで映し出します
娘を愛するが故に罪を犯してしまう父親、娘のアリシアが日本のアニメ「魔法少女ゆきこ」のファンでそのコスチュームを着たいんです
父親のルイスは失業中で約90万円のコスチュームはもちろん買えません、宝飾店を強盗して金を用意しようとするのですが偶然にもゲロを掛けられます
これで知り合ったバルバラと知り合って心を病むバルバラとセックスをしてしまいます、そこでルイスはバルバラを脅すのです
脅されたバルバラは旧友を頼って売春するんですけど1回でこんな大金が稼げるなんてどんな事をしたんだろう?おそらく普通ではない暴力などのアブノーマルなことでしょうね
2回目に金が要りようになった時にもっと高い条件を言うと前回の金持ちが「終わりにしたければある言葉を言えば終了、言わなければ稼げる」と言われて重厚な扉を開けるんです
ここまででも想像を超える展開なんですが、ここから更に予想外な展開になっていってある意味衝撃的でしたね
ダミアンの登場で映画の色がガラッと変わっていくんです、自分を守護天使と呼ぶバルバラが変わり果てた姿を見てある事を心に決めるんです
当初は娘の願いを叶える為に奔走する父親の姿を見れるのかと思っていたら正直「えっ!」って思いましたね
監督は日本を第2の故郷と言うカルロス・ベルムトで「ドラゴンボール」の大ファンで本作はセバスチャン国際映画祭でグランプリと監督賞を受賞、ゴヤ賞では女優賞を見事に受賞しました
そのバルバラを演じるのはバルバラ・レニーで額に傷を作ってヌードも辞さない大胆な演技とその迫力に魅せられましたね
夫との関係を修復したいバルバラはルイスの脅迫に従うしかなかったんですね、病んでいるバルバラには考える時間も余裕もなかったのでしょう
そう思うと彼女は悲劇のヒロインでしたね、もちろんアリシアもそうですね
白血病で余命わずかな少女アリシアは、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファン、彼女の願いはコスチュームを着て踊ること それが『マジカル・ガール』です。
いきなり長山洋子のデビュー曲「春はSA・RA・RA」で始まってなんだかこれがスペイン映画かとドギマギしてしまいましたよ