『この愛のために撃て』
2010年 フランス
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 フレッド・カヴァイエ
脚本 ギョーム・ルマン
撮影 アラン・デュプランティエ
音楽 クラウス・バデルト
出演 ジル・ルルーシュ/エレナ・アナヤ/ロシュディ・ゼム/ミレーユ・ペリエ/クレール・ペロ/ジェラール・ランヴァン/ムーサ・マースクリ/ピエール・ベノア/ヴァレリー・ダッシュウッド/アデル・バンシェリフ
《解説》
決して君を不幸にはしない
ハリウッドリメイクされた「すべて彼女のために」で脚光を浴びたフランスの俊英フレッド・カヴァイエ監督によるサスペンスアクション カヴァイエ監督は前作と同じ愛の疾走というテーマをより深く追求しつつ、84分というさらに凝縮され、既に前作を越える評判
平凡な男が孤立無援の状態で疾走する姿をスリリングなタッチで描く、フランス産サスペンス独特の重厚なテイストと、パリ中心部で撮影されたダイナミックな追跡劇が見事に融合した1作
《物語》
パリ市内の病院に勤務するサミュエルと妻ナディアは平凡だが幸せに満ち溢れていた、ナディアは出産間近で2人は初めての子供の出産を楽しみに待ち望んでいた
その頃、交通事故で意識不明の重体の男が病院に運び込まれた、サミュエルが夜勤で見回りをしていると白衣を着た男を見掛けた
サミュエルが声を掛けると男は逃げ出し、重体のも男の人工呼吸器が切断され窒息しそうになっているところをサミュエルがなんとか助けた
朝、サミュエルが帰宅しナディアと朝食の準備をしていると突然殴られ気を失ってしまった 電話の音で目覚めると電話の向こうから妻の鳴き声と、「3時間以内に病院から重体の男を連れ出せ、さもなくば妻を殺す」と脅迫される
意識不明の男の身元が判明し、ユゴー・サルテで強盗の常習犯で殺人の容疑もかけられている悪党だ
妻が誘拐された理由も分からないままに犯人の要求に従うサミュエルはサルテに薬を投与して意識を回復させて病院から連れ出す
数日前に実業家のメイエールが殺され、その容疑者にサルテが浮上し警察はサルテとサミュエルの行方を追う
ナディアを誘拐した男はサルテの弟のリュックである大きな駅でサルテとナディアを引き換える予定だったのだがサルテを狙う男たちが駅に現れて中止となりサミュエルはサルテと逃亡
しかしニュースではサミュエルはサルテと共犯の扱いで報道され、サミュエルはこの事件で知り合った女刑事カトリーヌに隠れ家を連絡
しかしそこにカトリーヌとは別の刑事の班が現れて銃撃戦となる、サミュエルは警察と裏組織の陰謀により絶望的な状況下で妻ナディアを救う為に疾走する
《感想》
デビュー作となる前作の「すべて彼女のために」のフランスの新鋭フレッド・カヴァイエです、この監督作品はスピード感があってハラハラドキドキの演出が絶品です
それに無理に時間のだらだらと長いだけでの映画ではなく余計な物は省いて次から次へと何かが起こる休む暇もない面白い作品なんです
それに根底に愛があって前作でも濡れ衣を着せられた妻を助けるのですが本作は更に出産間近の妻を誘拐されてそちらもいつ生まれるかハラハラですよ
平凡な看護助手のサミュエルが突然巻き込まれるサスペンスアクションですが主人公サミュエルを演じるのがジル・ルルーシュ、本国ではコメディアンの顔も持っています
このジル・ルルーシュがバタバタしてオロオロしてる姿から後半の度胸ある行動には胸が打たれます、やはり愛の力は偉大です
そしてサルテを演じるのがロシェディ・ゼムで彼が本当に良かったね、強盗の常習犯で悪党なんですが同じ狙われる境遇となったサミュエルと行動を共にして不思議な友情が生まれるんです
悪党なのになんだか正義の味方に見えてきてしまうのが監督の演出と俳優の手腕ですね、ラストもすごくゾクゾクしましたよ
サミュエルの妻ナディアを演じるのが「機械じかけの小児病棟」のエレナ・アナヤ、妊婦の役なのでずっと辛そうで大変ですしそれにえらい場所で産気づくんです
男くさい感じのハードボイルドなんですが、女性キャストも活躍し悪役の女性のまた悪いんです それに主要キャストだと思ってた女性が序盤で死んだりとアッと言わせます
妻を誘拐された男の極限の愛がパリの街を疾走する、息もつかせぬニュー・フレンチ・ノワール誕生! それが『この愛のために撃て』です。
すごくテンポよくてカメラワークを素晴らしく音楽も最高です