『クラウド・アトラス』
2012年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 ラナ・ウォシャウスキー/トム・ティクヴァ/アンディ・ウォシャウスキー
原作 デイヴィッド・ミッチェル
撮影 ジョン・トール
音楽 トム・ティクヴァ/ジョニー・クリメック/ラインホルト・ハイル
出演 トム・ハンクス/ハル・ベリー/ジム・ブロードベント/ヒューゴ・ウィーヴィング/ジム・スタージェス/ペ・ドゥナ/ベン・ウィショー/ジェームズ・ダルシー/ジョウ・シュン/キース・デヴィッド/デヴィッド・グヤシ/スーザン・サランドン/ヒュー・グラント
《解説》
過去から未来へ
19世紀から近未来まで、6つの異なる時代に生きる人々の姿を描いた、デヴィッド・ミッチェルによるベストセラー小説を、「マトリックス」シリーズのウォシャウスキー姉弟と「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァという3人の監督で映画化
6つの時代と場所で、6つの人生を生きる男がいた 始まりは悪人だが、様々な数奇な経験を経て、やがて世界を救う偉大な人物へと魂が成長していく それぞれのエピソードが、一見アットランダムな流れに見えて、実は後に一つに繋がる圧倒的なストーリー
《物語》
隻眼の老人ザックリーが自身の時空を超えた数奇な物語を語る
1849年、アメリカの弁護士ユーイングは、南洋で奴隷貿易の契約を終え医師グースと共に帰国の航海につく 密航していた脱走奴隷オトゥアに出会い、懇願されて匿ってしまう

その後、ユーイングは船に積まれた契約金を狙うグースに毒を盛られて殺されかけていたところをオトゥアに救われ、奴隷商人の義父ハスケルと決別し、妻ティルダと共に奴隷解放運動へ身を投じる


1931年、音楽を志すイギリスの青年フロビシャーは恋人のシックススミスの元を離れ、大作曲家エアズの下で採譜係として雇われた ユーイングの航海日記を愛読しながら自分の交響曲を作曲していたが、曲を奪おうとしたエアズを銃で撃ってしまったため逃亡生活を送ることになる

フロビシャーは「クラウド・アトラス六重奏」を完成させた後、手紙を書き続けていた恋人シックススミスに遺書を残して拳銃自殺する


1973年、シックススミスはアメリカで物理学者となり、フックスらが進める原子力発電所計画の欠陥を告発するためジャーナリストのルイサ・レイに報告書を託そうとするが、原発事故を望む石油マネーが雇った殺し屋ビルに射殺される

報告書とユーイングの手紙を手にしたルイサも命を狙われるが、ルイサの亡父の戦友でフックスの部下ネピアと共に殺し屋に立ち向かう 最後にはシックススミスの姪メーガンの協力により報告書は公開され真実が明らかになる

2012年のイギリス 編集者カヴェンディッシュの手元には新人作家の原稿、「ルイサ・レイ事件」 作家ダーモットは目の敵にしていた批評家をパーティの最中に殺害して時の人となり、ダーモットの出版元であったカベンディッシュは大儲けする

しかしダーモットの舎弟たちに恐喝され富裕な兄デニーに助けを求めるがデニーに騙され収容所同然の老人介護施設に入所させられてしまうが、入居者仲間と計画を立てて施設から脱走する そして自伝小説「カヴェンディッシュの大脱走」を執筆しながら、青春時代の恋人アーシュラと余生を過ごす

2144年 未来社会ネオソウル、遺伝子操作で作られた合成人間たちが人間に支配され、労働力として酷使されていた 給仕係をしていたソンミ451は、あるとき映画「カヴェンディッシュの大脱走」を見て自分の境遇に疑問を抱く

その後ソンミは革命家チャンに救出され、愛し合う 革命軍は放送施設を占拠しソンミは全世界に向けて演説を行う 革命軍は政府軍の強襲を受け、チャンと仲間は戦死、捕らえられたソンミも統一政府から派遣された官僚に真実とチャンへの愛を語ったあと、処刑される


2321年 文明の崩壊した地球、ある島では島民たちは凶悪な人食い族に怯えながら、女神ソンミを崇め、素朴な生活を送っていた 島の住民ザックリーは彼の心の闇の部分に悩まされ続けており村でも孤立していた

ある日、「昔の人」の技術を持つプレシエント族の女性メロニムが、人々が恐れる「悪魔の山」へのガイドを探して村にやってくる ザックリーは姪の命を救ってもらう代りにガイドを引き受け、無事に山頂にたどり着く

メロニムは山頂の宇宙港から地球外コロニーへの救難信号を送信する 汚染により地球人類は滅びかけていたのだ 山から戻ると村は人食い族の襲撃により全滅しており、窮地に陥るが、メロニムの銃に助けられて生き延び、唯一助かった姪とともにプレシエント族の施設に移住する


2346年、老いたザックリーが語っていた相手は沢山の子供たちで、舞台は地球から遠く離れた惑星 共に老いたザックリーとメロニムが仲睦まじく寄り添う

《感想》
とにかくいろんな時代がクルクルと回って忙しい映画でした 数分ごとに時代が変わるから目を離せません
以前に観たのですがなかなかレビューが難しくて、色んな映画解説などを読んでなんとかまとめてみました でも映画の順番通りには難しくて時代順となってしまいました
観ていて面白かったのが主要な役者がその時代時代で色んな役をしてるのが面白く素晴らしかった 俳優が女装してたり、女優が男装してたりとね
主にトム・ハンクスが物語を回してるのですが、最初は悪い役なんですが時代ごとに代わって未来では勇敢な男になってました

最初の時代は1800年代なんですが2321年の未来は地球の文明が崩壊しているので森に住む原住民のようになっているんです
そこでは武器は原始的な物でトム・ハンクス演じるザックリーたちの村以外にも森に人間を食べる人種もいてそれに怯えて生きているんです その1人がヒュー・グラントだったりする

そこに昔の文明を持つメロニムがやってくるんです 演じるのが「チョコレート 」でオスカーを受賞したハル・ベリー

彼女もいろんな時代で生きていて1973年で原発問題を告発するルイス役で正義の記者を演じ、2321年ではザックリーの村にやってきて宇宙へと信号を発します
おいらは2144年のネオ・ソウルの話しが好きです 悲しくも切ない未来の人工的な人間を複製種と言ってい、朝起きて給仕の仕事をして夜は寝るといった管理されたシステムで生きているんです


ソンミはそこで知り合ったユナという複合種の女性に感化されて自分たちの存在に疑問を感じるんです ポイントを貯めれば仕事を終えて自由を得られるはずなんですがそんな事はなくて、殺されて複合種の食事となっていたんです
このソンミを演じるのが韓国の国際派女優のペ・ドゥナ 彼女も色んな時代で色んな役を演じています 良かったのは1849年のユーイングの妻ティルダと1973年の移民者の役、彼女は「空気人形」で世界的にその名を知らしめたと思います


そのソンミの友人ユナを演じるのが中国のトップ女優の1人で「ウィンター・ソング 」のジョウ・シュン 2321年の未来ではザックリーの妹役も演じてます
まさかペ・ドゥナとジョウ・シュンが同じ作品に出るとはさすがハリウッドですね

この作品を観るまでウォシャウスキー兄弟が姉弟になってるとは知らなかったです 映画同様に世界の流れは速いですね
500年の時を超え、受け継がれる意志が革命を起こす それが『クラウド・アトラス』です。
その思想はなんとなく欧米っぽくなくアジアっぽく感じたのはおいらだけでしょうか? 実験的でもありましたが3時間は少し長いかも