『ほどけてゆく人妻』
2008年 ドイツ
《スタッフ&キャスト》
監督・製作・脚本 イリス・ヤンセン
撮影 アンドレアス・ケーラー
出演 ダニエラ・ヴッテ/クリストフ・ヤコビ/アンティエ・ヴィドラ/ハンス・ヨアヒム・ハイスト/ピート・フックス/カタリーナ・パルム
《解説》
私の本能を突き動かして
貞淑な人妻が、風俗の世界を垣間見るうち、深みへとはまっていく姿を描いた官能ドラマ
主人公の人妻は、若い市長の夫が風俗店に通っていることを知って、同じような店で働き始める
《物語》
若くして市長を務める夫ベルントと新居に引っ越してきたばかりの貞淑な妻で控えめなミリアム
夫は優しく、裕福な生活 お互いに愛し合い、一抹の不安も抱いてなかったミリアム
ある日、ベルントを訪ね市庁舎に来たミリアムはベルントと入れ違い 携帯を忘れているベルントを追って車で走り出した しかしベルントの車は国境を越え、とある店に入っていった
ミリアムが店を確認するとそこは風俗店だった
あんなに優しく真面目だと思っていた夫が足繁く風俗店に通っていたと知ってショックを隠し切れず現実を受け入れられない それに女性としての自信をも失っていく
そんなミリアムは友人のジルビアに相談 彼女はチャットレディーのバイトをしており、お嬢さんのミリアムに社会勉強が必要だと言い、夜のクラブでのアルバイトを誘われるままにバーカウンターで仕事を始める
そのクラブでは男だけだなく女性までも性欲を剥き出しにしているのを見てミリアムの中に新しい気持ちが芽生え始める
性に開放的な男女の姿を見て感化されたミリアムはやがて自ら男を求め、その行動はエスカレートしてゆく
《感想》
平穏で幸せな生活を送っていた人妻が夫の意外な一面を知ったため、自分の中の秘められた欲望を自覚し、変貌してゆく姿が官能的でした
サスペンス映画なら夫が殺人鬼みたいな展開を期待してしまいますが、今回は夫が風俗好きという事
この夫は市長なので自国ドイツではなくオランダまで行って楽しんでるんです ばれたら失脚してしまうのに我慢できないのかな?
側近はその事を知っていてミリアムには男はみんなしていることだから我慢してくれと
奥さんがいて風俗店に通うもんなんかな? 浮気したり愛人を囲うよりマシかな いや、どっちもおなじかな?
その夫の行為に刺激されてか、友人の紹介でクラブでバーカウンターで働き始めます
最初はバーカウンターで飲み物を出すだけでしたが周りの娼婦と客を見て自分の性を解放します
それだけでは収まらず、クラブの男を自ら誘い関係を持ってしまいます これはセックスに溺れていくのではなく夫との仲がうまくいかず孤独を埋める感じかな
セックスシーンの描写はあっさりとしていて、エロさは控えめです
主人公ミリアムを演じるのがダニエラ・ヴッテ
ちょうどいい感じの人妻でしたよ(笑) 真面目そうでストッパーが外れると暴走するような危うい感じ
そんな夫婦の関係と並行して、夫の友人の解雇問題とミリアムの友人のジルビアのシングルマザーの問題などを織り交ぜてます
ラストは全てが夫の知れることとなり、その結果は再生なのか破滅なのかは観客に委ねる形になってます
おいらとしては破滅して全てを失うくらいのラストが相応しいと思いました 不倫や浮気で誰も幸せにはなりませんからね
眠っていた性の目覚めが、未知なる世界へと導いてゆく それが『ほどけてゆく人妻』です。
2009年ベルリン国際映画祭に出品された作品ですが、もう少しヨゴレてくれてもよかったかな ドイツ映画ってかなり久しぶりかも